
お迎えした保護犬が怖がって散歩に行けません……。
「犬は散歩が好き」というイメージが強いため、怖がる保護犬に戸惑うのは無理もないでしょう。
しかし、保護犬を迎えた里親さんにアンケートを実施したところ、なんと!9割の方が「今は散歩が好き」と回答されました!
つまり、「はじめは怖がっていた保護犬も散歩が好きになった」という事実があるのです。
この記事では、保護犬が散歩を怖がる理由2つと、お出かけができるようになる練習法を6つのステップでご紹介していきます♪

ちなみに、わが家の保護犬は今でも「なるべく家から出たくない、散歩はイヤイヤ行くタイプ」ですが…一歩外へ出れば、散歩を楽しめます!
ぜひ最後までご覧いただき、自信をつけてくださいね。
「家から一歩も出られない…」保護犬が散歩を怖がるのはなぜ?
「保護犬が散歩を怖がって、家から一歩も出られない…」
「やっと歩けるようになったけど、すぐパニックになって気が抜けない…」
“犬=散歩が大好き”というイメージと、目の前の現実のギャップに、「どうして?」「うちの子だけ…?」と不安になりますよね。
でも、それにはちゃんと理由があります。
それは、散歩が“はじめての体験”だからです。
たとえば、
・首輪をする
・リードをつける
・人と一緒に歩く
・外の音、におい、風景…
私たちには当たり前のことでも、保護犬にとってはぜんぶが“未知の世界”。
怖がって当たり前なんです。

次のパートでは、よくある理由を2つに分けてくわしくお話していきますね。
理由①|リード・首輪・外の世界…全部がはじめて

保護犬の多くは、そもそも“散歩が楽しいもの”だということを知りません。
ですので、首輪やリードをつけようとすると、怖くて抵抗してしまう子もいるのです。
でもそれは、決して悪気があるわけではなく、「こわいよ」「やめてよ」という、その子なりの精一杯の気持ちのあらわれなんです。
うちの子も、まさにそうでした。
・リードを手に持つと、部屋の隅にサッと逃げ込む
・手を伸ばすと、カプッと噛み付く仕草で威嚇する
・やっとのことでリードをつけても、身をよじって抵抗する
散歩に行く前からおたがい緊張して、汗がにじむような状態に、
「こんなに怖がるなら、無理に散歩なんて行かなくていいんじゃないかな…」
そう思ってしまう日も、正直ありました。
でも、今ならわかります。
この子にとっては、人と暮らすことも、外を歩くことも、すべてが“犬生はじめての体験”。
だから、怖くて仕方なかったんですよね。
理由②|物音・人の声・車の音…当たり前が怖い理由
私たちにとって当たり前の生活音も、保護犬にとっては“聞いたことのない不思議な音”ばかりです。
とくに、以下のような音は刺激が強く、不安を感じやすいようです。
・車の走行音やクラクション
・電車のゴトゴトという振動音
・リードの金属がカチャッと鳴る音
私たちには何気ない音でも、保護犬にとってはビクッとしてしまうほど怖いもの。
だから、“散歩=怖いもの”と感じてしまうのかもしれませんね。

うちの子も、車通りの多い道では小走りになることがありますよ。
【里親さん11人に聞いた】保護犬は散歩を怖がる?好きになる?

保護犬を迎えた11人の里親さんにアンケートを実施したところ、9割の方が「今は散歩が好き」と回答してくださいました。
・散歩の時間になると喜ぶ(6人)
・前は苦手だったけど今は好き(3人)
・散歩は好きだけどビビリ(1人)
はじめは歩けなかったり、怖がって外に出られなかった子でも、時間をかけて少しずつ慣れていった子が多いという結果になりました。

うちの子も、迎えて1年半が経ちましたが、実はまだ“散歩大好き”とは言えません。
それでも、少しずつ歩ける距離がのびてきています。
【実例】保護犬が散歩で怖がるものって?体験談から見えたこと
「散歩は好きになってきたけど、まだ苦手なものがあるんです」
そんな声も、里親さんからたくさん寄せられました。
実際に、保護犬たちが怖がるものを聞いてみると…
・子どもの集団やランナー
・車、自転車、バイク
・金属音や、ボールをつく音
・グレーチング(排水溝の鉄板)
・突然のはち合わせ
・後ろを歩いている人
・昨日までなかったもの
・普段しまっている扉が開いている など…
これらは、私たちにとっての日常ですが、保護犬にはビックリすることばかりなんです。
焦らずゆっくり、愛犬と一緒に安心できる道を探してみませんか?
そして、「今日は、ここまで歩けたね!」とよろこぶ…それだけで十分です。
怖がっていた保護犬が散歩好きに!ヘニムちゃんの変化と飼い主さんの工夫

散歩に行こうとすると、リードや首輪を怖がっていた元保護犬のヘニムちゃん。
今では散歩の時間になると、尻尾をフリフリ「行こうよ♪」しながら誘ってくるほど、お外が大好きな子になりました。
そんなヘニムちゃんの変化の様子や、「散歩が怖い…」という時期に飼い主さんが実践した工夫を、くわしくご紹介します。
「うちの子も…」と感じている方にとって、きっと参考になるはずです。
迎えてすぐ|一生散歩できないかも…と思った日々
ヘニムちゃんは、保護犬カフェ®堺店の出身の元保護犬です。
お迎えした当初は、「一生、散歩に出られなかったらどうしよう…」と心配になるほど、外に出ることを怖がっていました。
・首輪もリードも、人が横に立つのも怖がる
・車やバイクにビクビクして、家の前から動けない
・いつも歩けていた道でも、突然怖くなり強く引っ張る
重機の音や花火をする人を見たことがきっかけで、それまで好きだった散歩コースが苦手になったってしまったことも…。
このように、一進一退をくり返しながら、少しずつ外の世界に慣れていったそうです。
怖い場所も、楽しいお出かけで自信に変えた

「いつも歩けてた道なのに、怖くて進めなくなっちゃった…」
そんな時、ヘニムちゃんの里親さんが実践したのは、“無理に歩かせる”ことではなく、「お外=楽しい場所」と伝えることでした。
具体的には、次のような工夫をされたそうです。
- STEP①
川やドッグラン、大きな公園など、ヘニムちゃんが楽しめそうな場所にお出かけして、外の世界の心地よさを体験
- STEP②
少しずつ自信を取り戻し、「お外っていいかも」と思えるように
- STEP③
気づけば、怖がっていた場所も歩けるように!
このように、「お外って楽しいね」と伝え続けたことで、今では散歩もヘニムちゃんの楽しみのひとつになりました。
歩かない保護犬も大丈夫!1日10分のお散歩チャレンジ
つづいて、筆者が実際に取り組んだ「1日10分から始めるお出かけ練習」をご紹介します。
とはいえ、いきなり外に出る必要はありません。
ひとつずつ、小さなステップを踏みながら、「歩けた!」「できたね!」という喜びを一緒に増やしていきましょう。

散歩よりもまずは、“おうちでの安心感”を育てることが何より大切です。

ステップ①|まずは家の中でリードに慣れる練習から
いきなり外に出るのではなく、まずは家の中で「リードに慣れる」練習から始めてみましょう。
このステップの目的は、首輪やリードに慣れてもらうこと。
もし付け外しを嫌がるようなら、つけっぱなしで様子を見るのもOKです。
大切なのは、「ついていても怖くないものなんだ」と、安心してもらうことです。
ステップ②|玄関から1歩だけチャレンジしてみる
家の中でリードに慣れてきたら、いよいよ“外の空気”を感じるステップです。
といっても、「さあ散歩に行こう!」と気合いを入れる必要はありません。
まずは
・ベランダ
・裏庭
・ウッドデッキ
・玄関ポーチなど
怖くなったらすぐ戻れる場所に出てみるだけで十分です。

たった1歩でも、思いきりほめてあげてくださいね。
ステップ③|怖がるなら抱っこで外の景色に慣れよう

抱っこができるようであれば、まずは抱っこで家のまわりを歩いてみましょう。
わが家では、抱っこで2軒隣の広場まで行き、帰りだけ歩かせる…そんなところから始めました。
ほんの少しの距離でいいんです。
「ここまで歩けたね、やったね!」とよろこんでくれる人がいる…そのやさしさが、保護犬の怖い気持ちを少しずつやわらげてくれるのです。
ステップ④|静かな時間帯に散歩に出てみる(早朝・夜間がおすすめ)
散歩にチャレンジする時は、まず、人や車の少ない時間帯を選びます。
これは、怖がるものとの接触を防ぐためです。
そうなると、必然的に早朝や夜間となり、飼い主さんに負担がかかります。
ですので、排泄だけ、5〜10分歩いてみるだけで十分です。
ステップ⑤|散歩の時間を変える
1日10分とはいえ、毎日の早朝や夜間の散歩は大変ですので、様子を見ながら飼い主さんの都合の良い時間に移行しましょう。
この時に注意してほしいのは、前述した「ビビリな保護犬が怖がるポイント」との接触をなるべく避けることです。

個人的に、子ども達が登校する7時30分前後は、今も散歩したくない時間No.1です。
これがなかなか大変ですが、怖がらせて振り出しに戻るよりマシだと思います。
ステップ⑥|慣れてきたら、1日2回の短時間お散歩に挑戦!

最終目標は、1日2回の散歩です。
ただし「犬は散歩が好きだから」とか「運動不足にならないように」という世間一般のイメージは気にしないでください。
散歩を怖がるうちは、1日1回で大丈夫。大切なのは、ワンちゃんも飼い主さんも散歩を楽しめるようになることです。
「いつか1日2回の散歩ができたらいいね」くらいの気持ちで、ゆっくりと進みましょう。

お迎えして1年半のうちの子は、今ここ!!
散歩中に怖がってパニック!対処法は?
怖がりな保護犬は、予想外のできごとにパニックを起こす時があります。
パニックになるとどうなるの?
怖がりな保護犬が散歩中にパニックになると、その場から逃げようとします。
そして逃げようとした時の行動は、次の3つです。
・強く引っ張る
・急に方向を変える
・固まって動かなくなる
うちの子の場合、急に方向を変えて全力で引っ張るため、常に人や車の動きに注意して散歩しています。

怖い!!隠れたい!!ってなるんだもん
パニックになった時の対処法
急に方向を変えたり、強い力で引っ張られると飼い主さんもあわてますよね。
ですので、まずは飼い主さんが落ち着き、それからゆっくりと怖がっているワンちゃんの緊張をほぐしてあげると良いでしょう。
①怖がった場所から離れる
②落ち着ける場所で休憩する
③ゆっくりと歩きはじめる
×飼い主さんがテンパる
×その場から逃げようとするのを引っ張って止める
【重要】散歩を怖がる保護犬はダブルリードがおすすめ
散歩を怖がる保護犬で1番気をつけたいのは、パニックになった時の逸走です。
そのため、「首輪とリードをつけ、飼い主さんがしっかり持つこと」が大切です。
逸走の主な要因は、事前チェックと定期的な交換で防げます。
・首輪のゆるみ
・金具の破損
・リードがちぎれる

また、どちらか一方が破損した時に備え、首輪とリードを2つずつ付けるとさらに安心です。
その他、歩きやすい靴を履く、鑑札、注射済票、迷子札の装着でワンちゃんの命を飼い主さんが守ってあげましょう。



まとめ|散歩を怖がる保護犬もお出かけできるようになる!
結論として、散歩を怖がる保護犬も散歩やお出かけができるようになります!
ただし、常識通りにならないことも多いです。
外に出るのを嫌がる、散歩を怖がるのであれば、無理に連れ出さなくても大丈夫。
まずは、ワンちゃんとの信頼関係を作り、お家での暮らしに慣れてもらうことからはじめましょう。
お迎えして1年半経ったうちの子も、いまだに散歩は1日1回で、「仕方ないなぁ…」としぶしぶ出かける感じです。
それでも、外に出れば尻尾を上げて歩けるし、キャンプや車中泊も一緒にいけます。
ゆっくり時間をかけて、楽しい経験を増やしていきましょう♪

ゲームしたり、家でゴロゴロ過ごしたい人がいるように、インドア派の犬がいてもいいと私は思っています。
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