「野犬」「保護犬」と聞き、愛嬌たっぷりな甘えん坊をイメージする方は少ないと思います。
倉敷市保健所に収容される犬は、人と暮らしたことのない「野犬」がほとんどですが、里親さんと暮らす中で甘えることを学び、家族という幸せを手に入れた子がたくさんいます。
怖がり、敏感、さわれないことは、伸びしろしかないのです!!!
とはいえ、これから保護犬を迎えようと考えている方は「本当に懐くのだろうか」と心配になりますよね。
「倉敷市保健所からワンコを迎えた里親さんインタビュー」では、保護犬を迎えた時から現在、暮らしの中での困りごとを紹介しています。
元野犬の保護犬も里親さんも幸せになったストーリーを、ぜひご覧ください。
里親さんに甘えられる幸せな日々|さちお君
今回主役さちお君は、吠え、甘噛み、ムキッ歯に飛びつきがあり、お声がかかったものの、なかなかご縁につながらず、保健所を卒業した後にボランティアさんのお家で暮らしていました。
「甘噛みは甘えたいだけ。辛い経験をしたさちおを思えば、困りごとではありません」と話すご家族からの愛情を受け、少しずつ甘えられるようになってきたさちお君。
「これからの犬生、幸多かれ」という願いを込めていただいたお名前通り、永遠の幸せを手に入れました。
愛犬の名前 | さちお君 |
推定年齢 | 推定2歳 |
我が家記念日 | 2023.6.4 |
先住犬・猫 | ニャンコ1匹 先代ワンコ:2匹(お空へ) |
SNS |
SNSで見守っていた子を迎えることに
さちおを迎える前は、犬2匹と猫1匹と暮らしていました。隣の実家でも犬と猫を飼っています。
倉敷市保健所ボランティアteamKARのInstagramで見かけた時のさちおの第一印象は、「ムキッ歯がおもしろい子」。収容期限ギリギリにお声がかかったものの、ご縁につながらなかったようです。
保健所を卒業した後も、ボランティアさんのお家で過ごす様子を見るたびに、気になってはいたのですが、当時のわが家は譲渡条件に合わず、引き取ることができませんでした。
さちお君は、レインと一緒にあさ太ママのお家にいたんだよ〜
「さちお君に良いお家が見つかりますように」と願い、見守ることしかできない日々。
そんな中うちの子が1匹突然亡くなり、「これは保健所から譲り受けなさいって事かな?」と思い連絡を取りました。
甘噛みはさちお君の愛情表現
さちおは推定2歳で、好奇心旺盛のお年頃なうえ、吠え、甘噛み、ムキッ歯に飛びつきなどがあり「こじらせ男子」と言われていました。
甘噛みは、わたし達に対する愛情表現です。
甘えたい時に噛むと気がついてからは、家にいる時はなでなでしたり、話しかけたりしてさちおの甘えたい気持ちに寄り添うようにしています。
さちおと向き合うことで甘噛みの頻度はずいぶん減りましたが、今でも遊び出して興奮するとカプッとしてしまうことがあります。
甘噛みしてきた時はどうするの?
「さちー、いたーい」と泣き真似すると「ごめん!大丈夫?」と言うかのようにペロペロと舐めてくれます。そんな優しいさちおが大好きです。
先住犬・先住猫との相性もなんとかなる
一緒に住んでいるワンコとニャンコとの相性も気になっていたんだよね?
先住犬は、16歳のマルチーズ。大きさの違いはもちろんのこと、活動量や性格の相性も気になりましたね。
しかし、さちおがウチに来て1週間でマルチーズは亡くなってしまいました。
とても淋しいですが、年齢が16歳だったこともあり「ボクは幸せだったよ。ありがとう。」と次にバトンを渡してくれたのかなと思うようにしています。
先住猫との相性はバッチリ!と言いたいところですが、さちおが吠えるため猫は2階で生活しています。さちおの散歩中に1階で遊べますし、なんとかなりました(笑)
わたしが猫の名前を呼ぶと、さちおがヤキモチをやくので、2匹が仲良く暮らせるのはもう少し先になりそうです。
家族の帰りを健気に待つ姿に癒される
さちおは、人と暮らした経験のある元飼い犬だと言われています。
どのような経緯で保健所に収容されたのか分かりませんが、甘えん坊のさちおはすごく淋しかったのではないか思います。
体が大きく、ガツガツごはんを食べそうですが、お上品に少しずつ食べますし、人が好きで、実はとっても繊細。
吠え、甘噛み、ムキッ歯してしまうのも、淋しくて甘えたいけど、感情表現が上手にできないからなのかもしれません。
レインも甘えたい時やトイレに行きたい時は、カプカプしちゃうの……。
はじめにもお話ししましたが、ナデナデしたり、話かけたりすることで、甘え方や私たちが喜ぶことを、さちおなりに勉強しているようにも感じます。
吠えや飛びつきも大変そうと思われるかもしれませんが、辛い経験をしたさちおを思えば、困りごとには入りません。
「寝ているときに撫でても噛まない」「顔を近づけるとペロンと舐める」「目を開けずに安心して眠る姿」どれも当たり前のようですが、私たちにはすべてが特別であり、愛おしく幸せなこと。
12時間もの長い時間を、お漏らしもせずお留守番し、家族の帰りを健気に待ってくれる私たちの癒しです。